イギリスに着いたばかりで、まだ住所を証明する書類が何もない。
それなのに「銀行口座がないと家賃の引き落としもできない」と言われて、どこから手をつければいいのか分からなくなったことはありませんか。
実際、口座開設の最初のハードルは「住所証明」であることがほとんどです。
そんなときに頼りになるのが、住所証明がなくても開設できるデジタルバンクと、雇用主や大学の在籍証明で代用できる伝統的銀行の「ニューカマー向け口座」です。
この記事では、イギリスに来たばかりでも口座を作りやすい銀行を、必要書類・開設までの日数・使い勝手の面から具体的に整理しました。
読み終える頃には、自分がまず何から申し込めばいいか判断できるはずです。
1. そもそもなぜイギリスの銀行口座は開設しにくいのか
日本の銀行口座は、パスポートと在留カードがあればその場で作れることがほとんどです。
ところがイギリスの伝統的銀行は、マネーロンダリング対策の規制が厳しく、身分証明書に加えて「直近3ヶ月以内の住所証明書類」を求めてきます。
この住所証明が、着いたばかりの人にとって最大の壁になります。
住所証明として認められるのは、賃貸契約書・Council Tax(住民税)の請求書・公共料金の請求書・HMRCやDWPからの書類などです。
ところが、これらの書類はどれも「口座がある」「一定期間住んでいる」ことが前提で発行されるものが多く、着いたばかりの人には手に入りません。
いわば鶏が先か卵が先か、という状態に陥りやすいのです。
そこで実際に多くの人がとっている解決策が、住所証明を必須としないデジタルバンクでまず口座を作り、後から伝統的銀行に切り替えるという二段構えの動き方です。
次の章から、この二段構えを前提に具体的な銀行を見ていきます。
2. 住所証明なしでも開設できるデジタルバンク
スマホアプリだけで完結するデジタルバンクは、パスポートと本人確認(顔写真の撮影)だけで口座開設が完了するケースが多く、着いたばかりのタイミングと相性がいいです。
代表的なのがMonzoとStarling Bankです。
どちらもオンライン申し込みから数分〜10分程度で仮の口座番号が発行され、カードは後日郵送されます。
Monzo・Starling Bankの共通点と違い
どちらもFCA(英金融行為監督機構)の認可を受けた正規の銀行で、預金は£85,000まで保護制度の対象です。
アプリの使いやすさに定評があり、支出をカテゴリ別に自動で分類してくれる家計簿機能も付いています。
違いとしては、Monzoは無料プランでも海外ATM引き出しの上限が比較的大きく、Starlingは既存のイギリス在住者からの評判の面で堅実という声をよく見かけます。
ただし、デジタルバンクは給与振込先として認めてもらえない職場が一部にあることや、住宅ローンの審査で「取引履歴が浅い」と見なされることがある点には注意が必要です。
そのため、多くの人はデジタルバンクを「着いてすぐの生活口座」として使い、落ち着いたタイミングで伝統的銀行の口座も並行して持つ形に落ち着いています。

3. 伝統的銀行の「ニューカマー向け口座」という選択肢
デジタルバンクとは別に、大手の伝統的銀行にも「これからイギリスに来る・来たばかりの人」向けの口座商品が用意されています。
これらは住所証明の代わりに、雇用主からのオファーレター(内定通知書)や大学の在籍証明書、留学ビザのビザレターなどで申し込めるのが特徴です。
| 銀行名 | 口座名の例 | 住所証明の代替書類 | 開設までの目安 |
|---|---|---|---|
| HSBC | Global Money/Passport口座 | 雇用主のオファーレター、大学の入学許可書 | 着く前にオンラインで申込可・数週間 |
| Barclays | International/新しくイギリスに来た人向けサービス | ビザレター、雇用契約書 | 着いてから支店予約で1〜3週間 |
| Lloyds | International Account | 雇用証明、留学の受け入れ通知 | 着いてから1〜2週間 |
| NatWest | International Personal | ビザレター、雇用主からの書類 | 着いてから1〜2週間 |
| Santander | 1|2|3口座など通常口座扱い | 他行に比べ書類の柔軟性は限定的 | 着いてから1〜3週間 |
それぞれの銀行の開設方法や必要書類のさらに細かい違いは、個別の解説記事にまとめています。
特にBarclaysとHSBCは、着いてすぐの必要書類を実際の申込画面つきで解説しているので、迷ったらまずこの2行から読んでみてください。
- Barclaysの口座開設方法・特徴|着いたばかりのころの必要書類まとめ(内部リンク:uk-barclays-account-guide)
- HSBCの口座開設方法・特徴|Global Moneyの使い方も解説(内部リンク:uk-hsbc-account-guide)
- イギリスの大手銀行、結局どこがいいのか徹底比較(内部リンク:uk-highstreet-bank-comparison)
4. どうしても審査に通らないときの最終手段「ベーシック口座」
複数の銀行に断られてしまい、正直かなり焦っている、という状況もあるかもしれません。
そのときに知っておきたいのが、イギリスの法律上、居住権を持つすべての人に「ベーシック口座(Basic Bank Account)」を提供することが大手銀行に義務付けられているという制度です。
ベーシック口座は当座貸越(オーバードラフト)が使えない・デビットカードの機能が限定的といった制約はあるものの、給与の受け取りや家賃の引き落としといった生活の基本は問題なくこなせます。
信用情報に不安がある、書類が揃わない、という場合の最後の砦として覚えておくと安心です。
5. 口座を作るまでのつなぎに使える多通貨口座
銀行口座の審査を待っている間も、日本から持ってきたお金を管理したり、家賃を支払ったりする必要は待ってくれません。
そんなときのつなぎとして使われているのが、Wiseのような多通貨口座です。
Wiseはイギリスの銀行口座番号・並び替えコード(Sort Code)が発行され、住所証明なしでもパスポートだけで開設できます。
Wiseの詳しい手数料の仕組みは、次の記事で数字つきで解説しています。
日本からの送金額をなるべく減らしたくないなら、あわせて確認しておくと安心です。
まとめ:状況別に見る、まず作るべき口座
- 着いたばかりで住所証明が何もない:Wiseまたはデジタルバンク(Monzo・Starling)でまず口座を確保する
- 雇用主のオファーレターや大学の入学許可書がある:HSBCやBarclaysのニューカマー向け口座を検討する
- 複数の銀行に断られてしまった:ベーシック口座を扱う銀行の窓口に相談する
- デジタルバンクと伝統的銀行は「どちらか」ではなく、生活が落ち着くまで並行して持つという考え方が現実的
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