レインジャケットは持っているけど、足元は普通のスニーカーのまま——来て最初の数ヶ月は、私もそうでした。
買い物に行くたびに靴の中がびしょびしょになって、ようやく「これは長靴(レインブーツ)が必要だ」と気づきました。
イギリスでは「Wellington boots(略してWellies=ウェリーズ)」と呼ばれるゴム長靴が、ほぼ生活必需品です。
この記事では、なぜイギリスでレインブーツがここまで定着しているのか、そしてどのシーンで・どんなブーツを選べばいいのかをまとめました。
なぜイギリスでレインブーツが定着しているのか
Wellington boots(ウェリントンブーツ)は、19世紀にウェリントン公爵の名前をとって作られたのが由来で、もともとは軍用のブーツでした。
その後ゴム製が主流になり、雨・泥に強い実用靴として、イギリス全土に定着していきます。
イギリスは1年を通して雨がちで、特に郊外や田舎に行くと、舗装されていない道・公園・畑がとにかく多いです。
雨の後の芝生や小道はすぐにぬかるみになるので、普通のスニーカーでは、すぐに浸水してしまいます。
雨は降っていなくても、地面がぬかるんでいれば、長靴の出番です。
実際、イギリスでレインブーツが活躍する場面はかなり幅広いです。
- 犬の散歩:早朝・雨上がりの公園は必ずといっていいほどぬかるんでいます
- 庭仕事・ガーデニング:イギリスの持ち家には庭がある家が多く、雨上がりの庭作業は長靴必須です
- フェスティバル・野外イベント:Glastonbury(グラストンベリー)に代表される音楽フェスは、会場が広大な野原のため、毎年ぬかるみが名物になるほどです
- カントリーサイド散策・ハイキング:田舎道や牧草地を歩く「Country Walk」文化があり、長靴を1足持っていると心強いです
- 子どもの送り迎え・学校行事:小さい子ども向けの動物柄・キャラクター柄のウェリーズは、スーパーやおもちゃ屋でも定番商品です
ロンドンなど都市部の中心で暮らしていて、公園にもあまり行かない、庭もない、という生活スタイルなら、正直そこまで必要性を感じないかもしれません。
ただ、郊外に住んでいる・犬を飼っている・週末に自然の中へ出かける機会が多いなら、1足持っておくと、雨の日や雨の後、かなり快適になります。
レインジャケットとの違い——「防水」の意味が少し違う
以前レインジャケットの耐水圧の見方について書きましたが、レインブーツの防水性は考え方がシンプルです。
ジャケットのように「耐水圧○○mmH2O」という数値表示はほぼなく、基本的には「ゴム(PVC/天然ゴム)で全体を覆っているかどうか」で防水性が決まります。
その代わり注意したいのが「履き口の高さ」です。
ぬかるみが深い場所や、水たまりを気にせず突っ切りたい場合は、履き口が高いショート〜ミッド丈以上のものを選ばないと、上から水が入ってきてしまいます。
逆に、普段使い・通学・買い物程度であれば、くるぶし丈の低めのレインブーツ(アンクル丈)でもよいでしょう。
冬場の「しとしと雨」にも役立つ、防寒アイテムとしての一面
レインブーツは雨対策のイメージが強いですが、実は冬場の防寒アイテムとしても優秀です。
ゴムは水も風もほぼ通さない素材なので、冬にしとしとと冷たい雨が降り続ける日、スニーカーだと靴下までじわじわ濡れて足先が冷えてしまう状況でも、レインブーツなら足元がしっかりガードされ、体感的にかなり暖かく感じられます。
「雨の日専用」ではなく「寒くて濡れた日の防寒靴」として、冬のあいだ日常的に活用している人も多いです。
ただし、ゴム自体には保温機能があるわけではないため、足元からの底冷えは別途対策しておくと快適さが変わります。
おすすめは、レインブーツ用のインソール(中敷き)を追加することです。
クッション性のあるインソールを1枚入れるだけで、ゴム底からの冷えが和らぎ、長時間履いていても疲れにくくなります。
冬場は特に、保温効果のある起毛タイプ・厚手タイプのインソールを選ぶと、底冷え対策と歩き心地の両方が改善されます。
厚手の靴下(ウールなど)と組み合わせると、さらに防寒効果が高まります。
予算別・用途別——おすすめブランド
王室御用達で知られるHunter(ハンター)は日本でも有名です。
Hunterは老舗ブランドとしての知名度・デザイン性は抜群ですが、価格帯は£100前後からとやや高め。
実は、イギリス国内にはもっと手頃な選択肢がいくつもあります。
| 予算・用途 | おすすめブランド | どこで買う |
|---|---|---|
| とにかく安い | Dunlop(ベーシックモデルで£15〜) | Sports Direct / スーパーマーケット |
| 安いけど普段使いに十分 | Regatta(£30前後〜) | Mountain Warehouse / Sports Direct / Amazon.co.uk |
| 子ども用・キャラクター | Mountain Warehouse・各スーパー | Mountain Warehouse / Asda / Tesco |
| 本格的な農作業・悪路 | Muck Boot(£80前後〜) | Cotswold Outdoor / 農業・園芸用品店 |
| デザインと防水性のバランス | Aigle(£100〜150程度) | Aigle公式 / John Lewis |
| 王室御用達・贈り物にも | Hunter(£100前後〜) | Hunter公式 / John Lewis / 主要百貨店 |
犬の散歩や庭仕事程度の日常使いであれば、RegattaのようなミッドレンジブランドかDunlopの安価モデルで十分というのが正直な感想です。
逆に、フェスや本格的なぬかるみ・農地で長時間履くなら、足首のサポートやグリップ力が高いMuck Boot系のワーク寄りモデルの方が快適です。
なおレインウェアのブランド別素材比較記事で紹介したMountain Warehouseは、レインブーツも自社ラインで幅広く展開しているので、ジャケットとブーツを同じブランドで揃えたい場合の候補にもなります。
サイズ選び、履き続けるための注意点
レインブーツはジャケットと違って店舗で試着してから買うのがおすすめです。
ゴム製なので伸縮性がなく、普段の靴のサイズよりワンサイズ大きめを選ぶとよいです(厚手の靴下を履くことも考えると、少し余裕があった方が快適です)。
また、ゴム製のブーツは長時間の徒歩には向きません。
クッション性が低く、蒸れやすいので、フェスや長距離のハイキングで丸一日履き続ける場合は、インソールを追加するか、こまめに靴下を替えるなどの工夫があると快適さが変わります。
使わない時期は、型崩れを防ぐために横に倒さず立てて保管しましょう。
直射日光や暖房の近くに長時間置くと、ゴムが硬化・ひび割れしやすくなるので注意してください。
何年くらい持つ?劣化を防ぐ保管・お手入れ方法
レインブーツはゴム(天然ゴムまたはPVC)でできているため、革靴のように何十年も持つわけではありません。
ただしきちんと手入れをすれば10年以上、状態によっては20年近く使い続けられる一方、保管方法が悪いと数年でひび割れて浸水するようになります。
つまり寿命は「素材の限界」よりも「保管・お手入れの仕方」で大きく変わるということです。
ゴムが劣化する主な原因
- 紫外線:日光に当たり続けると、ゴムが酸化して硬くなり、ひび割れやすくなる
- 高温:暖房の近くや、夏場の直射日光下(車内など)に長時間置くと、ゴムの劣化(perish)が進みやすい
- 急激な温度変化:寒暖差が大きい環境で保管すると、ひび割れの原因になる
- 湿気:洗った後に生乾きのまま片付けると、カビや素材の劣化につながる
保管方法:涼しく・暗く・立てて
基本は「涼しく、直射日光の当たらない、湿気の少ない室内」で、立てた状態で保管することです。
横に倒したり、口を折り曲げた状態で長期間放置すると、その部分にクセ(折れ跡)がついてひび割れの起点になりやすくなります。
市販の「ブーツツリー(中に入れて筒状の形をキープする器具)」や、専用のウェリーラック(壁掛け式の収納ラック)を使うと、型崩れを防ぎながらコンパクトに収納できます。
玄関の外に出しっぱなしにする人も多いですが、直射日光や雨ざらしが続く環境だと劣化が早まるので、できれば屋内(玄関の土間や物置)で保管するのがおすすめです。
冬場なら、ヒーターの近くで乾燥させ、乾燥したらブーツツリーなどを入れて保管するとよいです。
お手入れ方法
- 使用後は泥・汚れを洗い流す:ぬるま湯と中性洗剤(食器用洗剤で十分)を使い、柔らかいブラシや布で汚れを落とす
- しまう前にしっかり乾かす:生乾きのまま収納すると、カビや劣化の原因になる。新聞紙を丸めて中に入れておくと、湿気を吸って乾きやすくなる
- 定期的にシリコンスプレーを塗る:ゴム専用のシリコンスプレー(自転車・アウトドア用品店やAmazonで購入可)を数ヶ月に1回程度塗布すると、ゴムのしなやかさが保たれ、乾燥によるひび割れを防げる
- 脱ぐときはかかとを踏まない:もう片方の足で踵を踏んで脱ぐ癖がある人がいるが、この動作を繰り返すとゴムに負担がかかり型崩れしやすくなる。ブーツジャック(脱ぎやすくする道具)を使うか、手で引っ張って脱ぐのがおすすめ
特別なことをしなくても、「濡れたまま放置しない」「直射日光を避ける」「立てて保管する」の3つを守るだけで、寿命はかなり変わります。
安いモデルを頻繁に買い替えるより、多少値が張っても気に入った1足を長く大事に使う、という選び方もアリだと思います。
まとめ:1足あるだけで、雨の日の行動範囲が変わる
- イギリスでレインブーツが定着しているのは、犬の散歩・庭仕事・フェス・カントリーウォークなど「ぬかるみ」に触れる機会が多いから
- 都市部中心の生活なら必須ではないが、郊外在住・アウトドア好きなら1足あると快適さが大きく変わる
- Hunterは有名だが高め。日常使いならDunlop・Regatta等の手頃なブランドで十分なことが多い
- 用途に合わせて履き口の高さを選び、購入前に試着する
- 寿命は手入れ次第。「濡れたまま放置しない・直射日光を避ける・立てて保管する」の3つでかなり長持ちする
- 冬場のしとしと雨の日は防寒アイテムとしても優秀。インソールを追加すると底冷えが和らぎ快適さが増す
レインジャケットと合わせてレインブーツも1足持っておくと、「雨だから外に出たくない」がかなり減ります。
出発前の準備で他にも確認しておきたい人は、レインジャケットの耐水圧の見方や、ブランド別の素材比較もあわせてチェックしてみてください。

