イギリスのアウトドアショップでレインウェアのタグを見ると、「10,000mm」「20K」「Breathability 15,000g/m2/24hrs」みたいな数字がずらっと並んでますよね。
なんとなく「数字が大きい方が良さそう」で選んでる人、実は結構多いんじゃないでしょうか。
私もそうでした。
結論から先に言うと、耐水圧(mmH2O)は「どれだけの水圧に耐えられるか」、透湿性(g/m2/24hrs)は「体から出た水蒸気をどれだけ外に逃せるか」を示す数値です。
そしてイギリスの気候で日常的に使うレインウェアなら、耐水圧は10,000mm前後あれば十分なケースがほとんどで、20,000mm以上の高スペックはむしろ持て余すこともあります。
この記事では、その数字の読み方と、イギリスの雨の降り方に合わせた目安を整理します。
1. 耐水圧(mmH2O)はどうやって決まる数値か
耐水圧は、生地の上に直径1インチほどの筒を立てて水を入れ、生地から水がしみ出すまでの水柱の高さをミリ単位で測った数字です。
「10,000mm」なら、10メートルの水柱に相当する水圧まで水を通さない、ということになります。
この数値がそのまま「雨の強さ」を表しているわけではないんですが、実際の使用感に置き換えるとだいたい以下のような目安になります。
| 耐水圧の目安 | 想定される天候・用途 |
|---|---|
| 〜5,000mm | 小雨・霧雨程度。撥水加工の日常アウターに近い |
| 5,000〜10,000mm | 通常の雨。多少の風雨でも数時間は問題なし |
| 10,000〜20,000mm | やや強い雨・長時間の屋外滞在。ハイキングや通勤に安心感 |
| 20,000mm以上 | 本格的な悪天候・登山や乗馬など座り込みや摩耗が多い用途 |
数字はブランドやテスト機関によって多少の幅があります。
目安として捉えてください。
2. 透湿性(g/m2/24hrs)は「蒸れにくさ」の数値
透湿性は、生地1平方メートルあたり24時間でどれだけの水蒸気(汗)を外に逃せるかをグラム単位で表した数値です。
「15,000g/m2/24hrs」なら、1日で1平方メートルあたり15,000グラムの水蒸気を通せる、という意味になります。
この数値が低い生地だと、外からの雨は防げても、体から出る汗が逃げ場をなくして服の内側にこもります。
結果、歩いているうちにインナーが汗でびっしょり、なんてことになりがちです。
防水性能ばかり見て透湿性を確認しないと、雨は防げたのに中が蒸れて結局濡れる、という本末転倒な状態になります。
目安としては、通勤・通学程度の軽い運動量なら5,000〜10,000g/m2/24hrs、ハイキングなど汗をかく活動なら15,000g/m2/24hrs以上あると快適さが変わってきます。
3. 「数字が高い=良い」わけではない理由
耐水圧と透湿性を両方とも高めようとすると、生地の層が増えて重くなったり、価格が上がったりします。
登山用の20,000mm・20,000g/m2クラスのジャケットは頼りになりますが、その分重くてゴワつきがあり、値段も張ります。
【私の結論】通勤や買い物、街歩き程度の使い方なら、10,000mm前後・透湿性8,000〜10,000g/m2程度のミドルスペックで十分なことが多いです。
オーバースペックな一着を買って、結局重くて出番が減るよりは、日常で気軽に着られる軽さを優先した方が満足度は高いように感じます。
逆に、湖水地方やスコットランドの山を歩く予定があるなら、話は別です。
用途に応じてスペックを使い分ける、という考え方が一番しっくりきます。
4. イギリスの気候に合った数値の目安
イギリスは「雨が多い国」というイメージが強いですが、実際に暮らしてみると土砂降りの日はそこまで多くありません。
むしろ厄介なのは、一日中降ったりやんだりを繰り返す小雨や霧雨、それに強めの風です。
イングランド南西部でも、傘をさすほどではないけど濡れる、みたいな天気がほぼ日常です。
この気候だと、必要なのは「一撃の豪雨に耐える防水力」よりも「長時間、風を伴う小雨にさらされ続けても中が蒸れない」バランスの方です。
目安としては次のあたりが現実的だと感じています。
- 通勤・通学・街歩き中心:耐水圧5,000〜10,000mm、透湿性5,000〜8,000g/m2/24hrs
- 週末のウォーキングや軽いハイキングも視野に入れる:耐水圧10,000〜15,000mm、透湿性10,000g/m2/24hrs前後
- 本格的な登山・悪天候の屋外活動:耐水圧20,000mm以上、透湿性15,000g/m2/24hrs以上
具体的なブランドごとの膜素材の違いは、以前まとめたイギリスブランドのレインウェア膜素材比較で詳しく書いているので、そちらも参考にしてください。
「なぜイギリスで毎日レインウェアが必要なのか」という前提の部分はこちらの記事でも触れています。
5. タグやスペック表の実際の見方
実店舗だと、耐水圧・透湿性はジャケット内側の下げ札か、袖口についた小さなタグに書いてあることが多いです。
「Waterproof Rating」「Hydrostatic Head」あたりが耐水圧、「Breathability」「MVTR」あたりが透湿性の表記です。
オンラインだと、商品ページの「Technical Specification」や「Features」の欄にまとめて書かれているのが一般的です。
数字だけがポンと書かれていて単位が省略されていることもあるので、「10K/10K」と表記があれば、耐水圧10,000mm・透湿性10,000g/m2/24hrsという意味だと考えて大丈夫です。
数字が一切書かれていない安価な商品もありますが、それが悪いわけではありません。
「Showerproof」表記なら小雨用の撥水コーティング、「Waterproof」表記ならある程度の耐水圧テストをクリアしている、というくらいのざっくりした区別で見ておくと選びやすくなります。
まとめ
数字だけ見て「高スペック=正解」と決めつけず、自分の使い方に合わせて選ぶのが一番後悔しません。
- 耐水圧(mmH2O)=水圧への耐性の数値と理解した
- 透湿性(g/m2/24hrs)=蒸れにくさの数値と理解した
- 自分の用途(通勤/ハイキング/登山)を決めてから数値を確認する
- タグの「10K/10K」表記の意味がわかるようになった

