イギリスって、SIM(スマホの電話番号や通信を管理している小さなカード)を売っている会社が、本当にたくさんありますよね。
giffgaff、Lebara、VOXI、Smarty、iD Mobile、Tesco Mobile……初めて聞く名前ばかりで、「結局どれがいいの?」となった人は多いはずです。
実は、このブランドの数が多いことには、ちゃんとした理由があります。
自分で電波を出す設備(アンテナや基地局)を持っている会社は、たった3つのグループしかないのです。
それ以外のブランドは、その3つのどれかから電波を借りているだけです。
この記事では、よく名前が挙がるSIM会社を1社ずつ、順番に説明します。
料金、おまけの特典、そしてどの電波を借りているか、評判まで見ていきましょう。
各社の電波の評判については、公式のカバレッジマップ(電波の届く範囲を示した地図)だけでなく、giffgaffのユーザーコミュニティやRedditといった、実際に使っている人の声も参考にしています。
ただし、電波の届きやすさは同じ会社でも住む場所によってかなり差があります。
そのため、最終的には自分の住所を公式サイトの電波チェッカーで確認することをおすすめします。
1. まず知っておきたい:本物の電波を持つ会社は3つだけ
見慣れないブランド名の携帯会社は、ほとんどがEE・O2・VodafoneThreeという3つのグループのどれかの電波を借りて運営しています。
こうした「電波を借りている会社」のことを「MVNO」と呼びます。
日本の「格安SIM」の会社(IIJmioやmineoなど)と同じ仕組みだと考えてください。
つまり、ブランドの数だけ電波の種類があるわけではありません。
実質は3種類の電波を、十数個のブランドが名前を変えて売っているだけです。
だからこそ、「このブランドの電波はどうか」を知りたいときは、「どの電波を借りているか」を知ることが一番の近道になります。
なお、2025年5月にVodafoneとThreeという2つの会社が合体して、「VodafoneThree」というグループになりました。
2026年には、電波を出す設備そのものも1つにまとまりました。
そのため今は、Vodafoneの契約者もThreeの契約者も、電波の状態がいい方の基地局に自動でつながるようになっています。
ただし、お店で見かけるブランド名としては、今もVodafoneとThreeそれぞれの名前が使われています。
そのため、この記事でもブランドごとに分けて説明します。
2. EEグループ|田舎の電波は一番強いと言われるが、料金は高め
EE(本家)
イギリス国内で、一番早くから4Gや5Gを広げてきた老舗の会社です。
田舎や山の中でも電波が強いと評判で、頭ひとつ抜けています。
2021年に手に入れた「700MHz帯」という、遠くまで届きやすい種類の電波のおかげで、建物の中や谷間でも電波が入りやすいと言われています。
ただしその分、料金は他のグループと比べても高めです。
また、法人や緊急サービス向けの通信も担当しているため、「とにかくつながることを一番大事にしたい」という人に向いています。
1pMobile
EEの電波を借りているMVNOの中で、値段の安さで知られているブランドです。
契約の縛りがない前払いプランが中心で、EEに近い強い電波を保ちながら、料金は抑えたいという人に向いています。
ただし実店舗はなく、困ったときの相談はオンラインが中心になります。
Lycamobile
外国への電話・SMSが安いことに力を入れているブランドです。
家族が母国にいる人など、海外によく電話をかける人に人気があります。
データ通信をメインで使いたい人にとっての優先度は下がりますが、「日本に電話をかける機会が多い」という人には候補になります。
3. O2グループ|giffgaffが一番有名、田舎の電波には賛否あり
O2(本家)
都市部ではVodafoneと同じくらい安定していますが、スコットランドやウェールズのような地方では、EEに一歩譲るという評価が多いです。
「Travel Inclusive Zone」という名前のプランなら、ヨーロッパ旅行のときに無料で使えるデータ量も大きめ(25GB)で、旅行が好きな人と相性がいい会社です。
giffgaff
イギリスの格安SIMの中で、一番名前が知られているブランドです。
「Goodybag」という、月ごとに買う通信のセットを、その都度購入していく方式です。
契約の縛りがなく、事前の審査もありません。
ただし、giffgaffの公式コミュニティには「田舎で電波が弱い」「急に電波が悪くなった」という書き込みが定期的にあります。
これはgiffgaff自体の問題というより、そもそもO2の電波が地方では弱いことが原因だと考えられます。
そのため、都市部や郊外に住んでいるなら、あまり気にする必要はありません。
イギリスに来てから最初のSIMをどうするか迷ったら、まず候補に挙がるブランドです。
Tesco Mobile
料金そのものは、giffgaffやiD Mobileより少し高めです。
ですがTescoでの支払いに対してClubcardポイントが貯まるのが最大の特徴です。
普段からTescoで買い物をする人なら、ポイント分を考えると実質お得に感じられることがあります。
また、O2の電波とVodafoneの電波、両方を使えるプランを選べるのも、他にはあまりない強みです。
Sky Mobile
Sky(イギリスのテレビ・ネット会社)のテレビやネット回線とセットで契約すると割引になるのが強みのブランドです。
使わなかったデータ量を翌年に持ち越せる「Piggybanking」という独自の機能もあります。
ただし、SIM単体の料金だけで見ると特別安いわけではないため、すでにSkyのテレビ・ネット回線を契約している家庭向けです。
4. Vodafoneグループ|法人向け・安定志向、前払いはローミングに注意
Vodafone(本家)
都市部や主要な道路沿いの電波はEEに匹敵すると評価される一方、地方はEEより少し弱いとされています。
法人契約に強く、サポート体制がしっかりしていることでも定評があります。
ただし、注意点があります。
前払い(PAYG)契約には、ヨーロッパでの無料ローミング(海外でもそのまま使える仕組み)が一切ありません。
無料の枠があるのは、「Xtra」という名前がついた月払いプランだけです。
VOXI
Vodafoneの電波を使う、若い世代向けのブランドです。
Instagram・TikTok・WhatsAppなど、SNSで使った通信量がデータの消費にカウントされない「Endless」という機能が特徴です。
契約の縛りがなく、ヨーロッパでの無料ローミングの枠も25GBと大きめです。
田舎では電波が弱まることがあると報告されていますが、都市部ではほぼ困らないという声が多いです。
Lebara
国際通話の安さが強みのブランドで、Lycamobileと同じように、母国との連絡が多い人に支持されています。
データ通信については、特別良いとも悪いとも言われていません。
5. Threeグループ|料金の安さはトップクラス、地方の電波は要注意
Three(本家)
データ容量の多さと、都市部での5Gの速さで人気がありますが、これまでは地方や山間部の電波がVodafoneやEEより弱いという評判が目立ちました。
ウェールズやスコットランドの高地、北アイルランドの田舎では、「圏外になる」という声もたびたび見られました。
ただし2026年に、Vodafoneとの基地局共有(お互いの電波を使えるようにする仕組み)が完了しました。
そのため、これからはVodafoneの基地局にもつながるようになり、地方での電波の弱さも少しずつ改善していくと見られています。
ロンドンなど主要な都市で使うぶんには、もともと快適だという声が大半です。
iD Mobile
Threeの電波を使うMVNOの中でも、特に料金の安さで知られるブランドです。
大手の小売店Carphone Warehouseの系列という後ろ盾もあり、安さのわりに安心感があると評判です。
ヨーロッパでの無料ローミングの枠は30GBと、今回紹介した中で一番大きいです。
これまでThreeの電波は地方で弱いとされてきましたが、Vodafoneとの基地局共有が進んだことで、都市部だけでなく地方でも改善が期待できます。
Smarty
Threeの電波を使うブランドの中でも、特にシンプルさと安さを追求したブランドです。
使いきれなかったデータを次の月に繰り越せるなど、無駄のない設計が支持されています。
SNSや掲示板では「都市部では快適だが、スコットランドで電波が途切れる」という投稿も見られます。
ただし、こうした投稿の多くは、Vodafoneとの基地局共有が終わる前のものです。
そのため、2026年以降は状況が良くなっている可能性があります。
6. 一覧表でまとめて比較
| ブランド | 使っている電波 | 強み・特典 | 電波の評判 |
|---|---|---|---|
| EE | EE | 最速の4G/5G展開、法人・緊急サービス回線 | 田舎に一番強いという評判 |
| 1pMobile | EE | EEの電波を安く使える | EEに準じて良好 |
| Lycamobile | EE | 国際通話・SMSが安い | 都市部中心なら問題なし |
| O2 | O2 | ヨーロッパ無料ローミング25GB | 都市部は良好、地方はEEに劣る |
| giffgaff | O2 | 縛りなし・審査なし、知名度No.1 | コミュニティで田舎の電波不満が定期的に出る |
| Tesco Mobile | O2/Vodafone | Clubcardポイントが貯まる | どの電波を選ぶかによる |
| Sky Mobile | O2 | Sky TV/ネットとのセット割 | 都市部は良好 |
| Vodafone | Vodafone | 法人・サポート体制が手厚い | 都市部・幹線道路沿いは良好 |
| VOXI | Vodafone | SNS使い放題「Endless」 | 都市部は良好、地方でやや弱まる報告あり |
| Lebara | Vodafone | 国際通話が安い | 可もなく不可もなく |
| Three | VodafoneThree(Vodafoneと基地局共有) | データ容量が多い、都市部5Gが速い | 従来は地方に弱いという評判/基地局共有完了で改善見込み |
| iD Mobile | VodafoneThree(Vodafoneと基地局共有) | 安さ、ヨーロッパ無料ローミング30GB | 従来は地方に弱いという評判/基地局共有完了で改善見込み |
| Smarty | VodafoneThree(Vodafoneと基地局共有) | シンプルな料金体系、データ繰り越し | 都市部は快適/地方も基地局共有完了で改善見込み |
7. 結局どう選べばいいか
- とにかく電波の強さを優先したい・田舎に住んでいる、またはよく行く:EE本家か1pMobile
- イギリスに来たばかりで審査もなく、まず様子を見たい:giffgaffかVOXI
- 都市部・郊外に住んでいて、とにかく安く抑えたい:SmartyかiD Mobile
- Tescoでよく買い物をする:Tesco Mobile(Clubcardポイントを含めると実質お得)
- 母国への国際通話が多い:LycamobileかLebara
イギリスの通信会社全体の仕組みや、月払い・前払いの違いについてはイギリスの通信会社比較の記事で、さらにくわしく説明しています。
まとめ
- イギリスで本当に自分の電波を持っているのはEE・O2・VodafoneThreeの3グループだけ。ほかのブランドはその電波を借りている
- EEグループは地方の電波が強い、Threeグループは地方が弱いという評判が定着している
- ブランドごとの特典(Clubcardポイント・SNS使い放題・国際通話の安さ)は、自分の生活スタイルに合わせて選ぶ
- 最終的な判断は、公式サイトのカバレッジチェッカーで自分の住所を確認してから
短期滞在やヨーロッパ周遊なら、日本語サポート付きのGlocal eSIMも比較候補になります。
※電波の評判は、利用者の体感やコミュニティへの投稿にもとづく傾向であり、住む場所によって実際の状況は異なります。
契約前に必ず公式サイトのカバレッジチェッカーで確認してください。
※料金・特典内容は変更されることがあるため、最新情報は各社公式サイトでご確認ください。

