レインジャケットが欲しい。防水性能はできるだけ高いものがいい。
でもGore-Texは高くて手が出ない……もっと安くて、防水性能もちゃんとしているレインジャケットはないのかな。多くの人がレインジャケット選びで最初に抱くのは、こういう素朴な疑問だと思います。
「eVent」や「Pertex Shield」といった素材名から入られても、正直ピンとこないですよね。
そもそもアウトドアブランドの名前すら馴染みがないのに、素材名まで覚えている人はほとんどいません。
そこでこの記事では、Mountain WarehouseやKarrimorなど、イギリスでよく見かけるブランドの防水ジャケットを軸に、Gore-Texと比べてどうなのかを見ていきます。
1. 結論:安いブランドでも、日常使いなら十分なことが多い
先に結論を言うと、Mountain WarehouseやKarrimorのような手頃な価格帯のブランドでも、普段のイギリス生活で困らない防水性能は十分に持っています。
Gore-Texと数値上まったく同じというわけではありませんが、通勤・通学・買い物程度の雨なら差を感じにくいというのが実情です。
一方で、登山やハードな屋外活動など「本気の雨・長時間の使用」が前提になる場面では、上位ブランドとの差が出やすくなります。
次の章で、ブランドごとに具体的に見ていきます。
2. なぜGore-Texは高いのか
Gore-Texが高い理由は、素材そのものの原価というよりライセンスビジネスの構造にあります。
Gore-Texを作っているW.L. Gore社は、生地を直接販売するのではなく、ブランド名の使用権をメーカーにライセンスする形を取っています。
業界の推定では、1着あたり15〜40ドル程度のライセンス料がかかっているとされ、これがそのまま小売価格に上乗せされる形です。
さらに、Gore社は製品の品質基準にかなり厳しく、完成した製品を実際にGore社へ送って認証を受ける必要があります。
認証に落ちれば、そのロット全体が出荷できないという話も聞いたことがあります。
品質は安定する一方、この検査コストも当然価格に反映されます。
【重要】「Gore-Tex」というタグがついているだけで、同等スペックの他素材のジャケットより3〜5割高く売れる、という指摘もあります。
ブランド力そのものが価格の一部になっているというわけです。つまり、価格差がそのまま性能差を意味するわけではありません。
3. イギリスの主要ブランド、自社の防水素材はどうなっている?
多くのブランドは、Gore-Texのような外部ライセンス素材とは別に、自社開発の防水素材を持っています。
まずはブランドと、その自社素材の実力を見てみましょう。
Karrimor(自社素材:WeatherTite)
Sports Directで買える定番ブランドです。
自社の「WeatherTite」素材は耐水圧10,000mm前後が中心で、価格は£25〜55とかなり手頃です。
本格的な雨に長時間さらされる想定ではありませんが、通勤・通学や普段の買い物には十分な防水性能です。
Mountain Warehouse(自社素材:IsoDry)
全国350店舗以上を展開する、イギリスでは定番のアウトドアブランドです。
自社の「IsoDry」素材は、モデルによって耐水圧5,000〜10,000mm程度。
価格帯も£30〜70とKarrimorに近く、街歩き用途では十分ですが、Gore-Texと同じ土俵で比べると防水性能そのものは控えめです。
Decathlon Quechua(自社素材:MH500シリーズ)
Decathlonの「Quechua MH500」は、耐水圧20,000mm(シュメルバー基準)で、公式には2時間で18cmの雨に耐える設計とされています。
価格は£70〜80程度なので、コストパフォーマンスだけで見ると今回の中で頭ひとつ抜けています。
透湿性(蒸れにくさ)の評価も高く、ハイキング用途でも評判が良いブランドです。
Regatta(自社素材:Isotex)
イギリスでは家族向け・ファミリーキャンプ用品でよく見かけるブランドです。
自社の「Isotex」素材は5,000〜30,000mmまで幅広いグレードがあり、モデルによって性能差が大きいのが特徴です。
購入時は「Isotex」の後ろに続く数字(例:Isotex 20,000)を確認すると、どのグレードかが分かります。
Berghaus(自社素材:Hydroshell)
登山・ハイキング寄りのブランドで、価格帯も£80〜160とワンランク上がります。
自社の「Hydroshell」は耐水圧20,000mm以上で、日常使いはもちろん、多少のハードな屋外活動にも対応できる水準です。
Rab・Montane(Pertex Shieldを採用)
この2ブランドは自社開発ではなく、「Pertex Shield+」という外部素材を採用しています。
耐水圧20,000mm・透湿性25,000g/m²/24hと、Gore-Tex Proにかなり近い性能です。
価格は£75〜200と幅がありますが、Gore-Tex採用モデルよりは総じて安く抑えられています。
4. 一覧表でまとめて比較
| ブランド | 自社素材・採用素材 | 耐水圧の目安 | 価格帯 | Gore-Texとの近さ |
|---|---|---|---|---|
| Karrimor | WeatherTite | 約10,000mm | £25〜55 | △ 街歩き用途なら十分 |
| Mountain Warehouse | IsoDry | 約5,000〜10,000mm | £30〜70 | △ 街歩き用途なら十分 |
| Decathlon Quechua | MH500シリーズ | 約20,000mm | £70〜80 | ○ 街歩き〜軽いハイキングに十分 |
| Regatta | Isotex(グレード制) | 5,000〜30,000mm | グレードにより変動 | グレード次第で◎にもなる |
| Berghaus | Hydroshell | 20,000mm以上 | £80〜160 | ○ ハードな用途にも対応 |
| Rab / Montane | Pertex Shield+ | 20,000mm | £75〜200 | ◎ Gore-Tex Proにかなり近い |
| Gore-Tex Pro(参考) | Gore-Tex | 約28,000mm | £200〜 | 基準 |
耐水圧は目安として、5,000mmで小雨、10,000mmで中程度の雨、20,000mm以上で強い雨や長時間の使用に耐えるとされています。
この基準で見ると、KarrimorやMountain Warehouseは「日常の雨」レベル、Decathlon・Berghaus・Rab・Montaneは「本格的な雨」レベルに対応できることが分かります。
5. 数値が同じでも、体感は違うことがある
ここまで数値を並べてきましたが、正直に言うと「数値上は互角でも、着てみると違う」という声も少なくありません。
- Pertex ShieldはPU(ポリウレタン)膜を使うタイプが多く、空気を通さない構造。透湿性の数値は高くても、動いているときの「ムレにくさ」の感じ方は個人差が出ます
- 生地の厚み・裏地の質感・縫い目のシーム処理(防水テープの精度)は数値に出てこない部分ですが、実際の防水性に直結します
- 安価なブランドはシーム処理が簡易なことがあり、耐水圧の数値ほど「濡れない」と感じない場合もあります
【重要】カタログスペックはあくまで実験室でのテスト値です。
汗のかき方、体温、動き方は人それぞれなので、数値が同じでも「自分に合うかどうか」は結局試してみないとわからない、というのが正直なところです。
まとめ:用途に合うブランドを選べば、Gore-Texにこだわる必要はない
- 通勤・通学・買い物程度なら、KarrimorやMountain Warehouseで十分なことが多い
- コスパ重視なら、耐水圧20,000mmのDecathlon Quechua MH500が候補筆頭
- 登山・ハードな屋外活動には、Berghaus・Rab・Montaneなど上位ブランドが安心
- Gore-Texというタグにこだわりすぎず、耐水圧の数値と用途で選ぶ
- 最終的には試着・実使用での体感を確認する
※価格・スペックは変更されることがあるため、購入前に必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。

