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イギリスの生ゴミ、なぜ燃えるゴミと分けるの?キャディの使い方とライナーの選び方

生ゴミ キャディに入れる前の野菜くずやオレンジ・アボカドの皮、卵の殻などの生ゴミ ゴミ・リサイクル

イギリスに来て初めて、日本と違うと思うのが「生ゴミ キャディ」という専用容器を使った生ゴミの出し方です。
日本の感覚のまま生ゴミを普通のゴミ袋に入れて出そうとすると、イギリスのルールとはまったく違うので注意が必要です。
ここでは、生ゴミ キャディの使い方を、日本との違いから順番に説明します。

つまり、この記事を読めば、なぜ生ゴミとキャディを分けるのかという理由から、実際の生ゴミ キャディの使い方、ライナーの選び方まで、ひと通り分かるようになっています。


1. 日本とイギリスの一番大きな違い:生ゴミ キャディという仕組み

日本では、生ゴミは基本的に「燃えるゴミ」の中に混ぜて出すのが当たり前です。野菜くずも、食べ残しも、ほかの燃えるゴミと同じ袋にポンと入れます。これが日本人の感覚です。

ところがイギリスでは、生ゴミ(Food Waste)は一般ゴミとは完全に別のものとして扱われます。「キャディ(Caddy)」と呼ばれる生ゴミ専用の容器に入れ、専用の日に、専用の収集ルートで回収されます。多くの家には、キッチンに置く小さめの「キッチンキャディ」(5リットル前後)と、家の外に置く少し大きめの「アウトドアキャディ」(20リットル前後)の2つが配られます。つまり、一般ゴミの袋に生ゴミを混ぜて出すのは、イギリスのルールでは基本的にNGということです。

「なんでそんな面倒なことを」と思うかもしれません。しかし、これにはちゃんとした理由があります。次の章で説明します。


2. なぜ生ゴミだけ分けるのか:燃やすのではなく「資源」にする

日本の多くの自治体では、生ゴミは他の燃えるゴミと一緒に燃やされます。でもイギリスでは、生ゴミは燃やさずに、土や電気に変えるという、まったく違う道をたどります。ここでは、生ゴミ キャディに入れた生ゴミが、そのあとどうなっていくのかを、順を追って説明します。

ステップ1:キャディから収集車へ
収集日になると、専用のトラックがキャディの中身を回収します。ここまでは他のゴミと同じです。

ステップ2:専用の工場に運ばれる
集められた生ゴミは、生ゴミだけを専門に処理する工場に運ばれます。ここからが、日本の「燃えるゴミ」とは違うルートです。

ステップ3:小さな生き物に「食べて」もらう
工場に着いた生ゴミは、大きなタンクに入れられます。このタンクの中には、目に見えないくらい小さな微生物がたくさんいます。この微生物たちが、野菜くずや肉、パンなどを、少しずつ分解していきます。たとえば、人間がご飯を食べて消化するのと、似たようなイメージです。

生ゴミ キャディから収集車で運ばれ、専用工場で微生物が分解して電気と肥料になるまでの3ステップの図解

生ゴミがガスと肥料に生まれ変わるまで

ステップ4:ガスと土のもとに分かれる
微生物が生ゴミを分解する過程で、2つのものが生まれます。

  • ガス:分解の過程で、目に見えないガスが発生します。このガスは集めて発電所に送られ、電気に変えられます。私たちが捨てた野菜くずが、誰かの家の電気になっているかもしれません。
  • 残りかす(栄養たっぷりの土のもと):分解された後に残るものは、肥料(堆肥)として使えます。畑や庭にまくと、野菜や植物を育てる栄養になります。

ステップ5:また新しい食べ物や植物になる
肥料になった生ゴミは、畑にまかれて新しい野菜を育てます。つまり、あなたが捨てた生ゴミは、燃やされて終わりではありません。電気になったり、また新しい食べ物や植物を育てる土になったりして、私たちのところに戻ってくるのです。これが、イギリスで生ゴミを分けて出す一番の理由です。

庭ゴミとの違い、そして困ったときの相談先

ちなみに、庭ゴミ(Garden Waste)も似たように土に還ります。しかし、処理する場所は生ゴミと違います。庭ゴミは屋外で堆肥にします。一方、肉や魚が混ざる生ゴミは屋外だと臭いや虫の問題が出やすいため、屋内の専用工場で処理されるのです。だから多くの自治体で「庭ゴミ用ビン」と「生ゴミ用キャディ」が分かれています。

もし生ゴミを一般ゴミに混ぜて燃やしてしまうと、この「電気や土に生まれ変わる」チャンスがなくなります。生ゴミをきちんと分けることが、この仕組みを回す最初の一歩というわけです。

引っ越してきたときにキャディがCouncilから配布されることが多いですが、配布されない、あるいは足りない場合は、Councilに問い合わせるかスーパーで購入することもできます。なお、今は「Simpler Recycling」という国の政策で、イングランドの全自治体で生ゴミ収集が義務化されています。一般ゴミやリサイクルの収集ルール全体については、イギリスのゴミ出しガイドで別途まとめているので、そちらも参考にしてください。ここから先は、実際に生ゴミ キャディをどう使うかという具体的な話に入ります。


3. 生ゴミ キャディに入れていいもの・いけないもの

キャディで回収される生ゴミは、最終的に発酵・分解させる処理にかけられます。そのため、分解を妨げるものは入れられません。

入れていいもの 入れてはいけないもの
野菜くず・果物の皮 プラスチック包装(ラップ・トレー等)
肉・魚(骨含む) 普通のビニール袋(分解されない)
卵の殻 紙おむつ・ペット用トイレ砂
パン・米・パスタ等の残り物 缶・ガラス・金属
ティーバッグ・コーヒーかす 液体(油・牛乳など。排水口に流すか固めてから一般ゴミへ)

基本的な考え方は「口に入る(入っていた)ものはOK、それ以外はNG」です。骨や殻も含めて、食べ物由来のものは基本的にキャディに入れて問題ありません。


4. 生ゴミ キャディのライナー(袋)の選び方——普通のビニール袋は使えない

キャディをそのまま使うと汚れやすいので、多くの人は中に「ライナー」と呼ばれる袋を敷いて使います。ここで重要な注意点があります。

普通のスーパーのビニール袋(レジ袋)は使えません。なぜなら、通常のプラスチック袋は分解処理の過程で分解されないからです。そのため、施設に運ばれた生ゴミ全体を「汚染物」扱いにしてしまうことがあります。

代わりに使うべきなのは、以下のいずれかです。

  • 認証済みの生分解性ライナー:「EN 13432」規格に適合し、パッケージに「Seedling(芽のマーク)」のロゴが付いているものを選びます。スーパーやオンラインで購入できます。
  • 新聞紙・キッチンペーパー:一部の自治体では、生分解性ライナーの代わりに新聞紙で包む方法も認められています。
  • ライナーなし:袋を使わず直接入れて、収集後にキャディを洗う運用でも問題ありません。

ライナーは、生ゴミが処理施設に届いた後、専用の機械で自動的に取り除かれてから分解処理にかけられます。そのため、ライナーそのものが「ちゃんと分解される素材かどうか」が重要になるわけです。

ライナーが溶ける・破れるときの対策

もうひとつ、実際に使っていて分かった注意点があります。生分解性ライナーは水分に弱く、生ゴミの水気でふやけて破れたり溶けたりすることがあるのです。これは筆者が実際に経験したことですが、調べてみると同じような報告は他にもありました。生分解性の袋は湿気を含むと分解が始まりやすいためです。特に水分の多い生ゴミを数日入れたままにすると、袋の底が抜けてしまうことがあるようです。

これを防ぐため、筆者は次のような工夫をしています。生ゴミが少ないうちは、いきなりライナーに入れません。まず普通のビニール袋に入れて口を縛り、冷蔵庫で保管します。そして、ある程度たまってきたら、まとめてライナーに移し替えて、外のキャディに出しに行くという流れです。専用のライナーは値段が高めなので、少量ずつ使って無駄にしないための工夫でもあります。生ゴミを溜め込みすぎない工夫としては、小さい冷蔵庫でもできる保存テクもあわせて参考にしてみてください。

正直なところ、ライナー代を惜しんで生ゴミを一般ゴミに混ぜて捨てている人を見かけると、少しモヤッとすることもあります。それでも、環境のためだと思って分別を続けています。


5. 生ゴミ キャディの実際の出し方——毎日の流れ

  • 普段:調理中や食後に出た生ゴミを、キッチンキャディに入れます(ライナーを敷いておくと処理が楽です)。
  • いっぱいになったら:キッチンキャディの中身を、外のアウトドアキャディに移します。
  • 収集日の前日夜〜当日朝:アウトドアキャディを、決められた収集場所(家の前の歩道際など)に出します。
  • 収集後:キャディが空になっているのを確認し、家の敷地内に戻します。

最初は「これも生ゴミに入れていいの?」と迷うことが多いと思います。しかし、慣れてしまえば日常のルーティンです。夏場や虫が気になる時期は、キッチンキャディを毎日空にする、フタをしっかり閉める、といった工夫をすると快適に過ごせます。生ゴミ キャディの使い方さえ押さえておけば、イギリスのゴミ出しはそれほど難しくありません。

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